新婚当初、最初に住んだアパートには幽霊が出ました。
何でそんな所を選んだのかって?
2階建ての白くて可愛いアパートだったんですよ。
私たちの部屋は2階で、玄関から入ったところに小窓があって、とてもオシャレな感じに見えました。
大家さんはご高齢の婦人で、そのお屋敷の敷地にアパートは建てられていて、
毎月、そのお屋敷にお家賃を払いに行っていました。
最初にあれ?と思ったのは、お屋敷の窓という窓に鉄格子がはまっていたことと、2階のどの部屋もカーテンでおおわれていたこと。
広い敷地なのに、暗くてジメッとしていたことです。
ある夜、深夜に目覚めた私は、暗闇の中、足元に女の子が立っているのに気づきました。
頭にずきんをかぶった、花売り娘のような格好の女の子で、顔や手は見えません。
最初は見間違いかな、と、何度も目をこすり見直しましたが、やはり女の子です。
怖いので、(見なかったことにしょう)と、布団に潜り込みました。
でも、それだけでは済まなかったんです。
何日かして、また夜中に目を覚ます時があり、
足元を見ると今度は黒っぽいラメのドレスを着た女性が立って、腕をゆらゆら揺らしていました。
(またか‥‥)
私はガッカリしました。
おそらく『霊道』というものなのでしょう。
これでは、おちおち夜中にトイレも行けないではないですか。
結局、そのアパートは半年足らずで出ることになりました。
幽霊も怖かったですが、何より家賃が高かったんです。二十代の夫婦にとっては。