占い師の怪談12

黒い蝶

つい最近のこと。


地方に住む実父の様子を見に行った帰り道ー中央線の中でのことです。
時間は夜の8時過ぎでしょうか。


幸運なことに座ることが出来たので、私は座席にもたれかかり、人の頭越しにぼんやりと電車の天井を眺めていました。
すると、黒い大きな蝶が、天井を這うように飛んで来るのが見えました。
(外から入ってきたのかな?)
中央線の中に、ハチだったり、他の虫が入ってくるのは珍しいことではありません。
つい先だっても、それはホーム上でしたが、若い男性のうなじのところに虫が止まって、シャツの中に入ってしまうのを見かけたことがあります。
ちょっと距離があったので、声をかけることが出来ませんでしたが‥‥。
電車の中に、虫が入って来ることはたまにあります。
でも、そんな時は大抵、車内が騒然となって、怯えた顔で席を立ち、車両を動く人がいたりするのですが、その時は誰も蝶に目を止めた人はいないように思えました。
(蝶々だから、怖くないのかな)
それにしても、大きな蝶で、ふわふわと天井付近を飛んだかと思うと、ドアのところに立っていた若い女性のうなじのところに、スッと入ったのです。
「あっ!」
私は背中を起こして、女性を見つめました。
女性が背中に何かを感じて、もそもそし出すかと思ったんです。そしたら今度こそは声をかけて、蝶が入ったことを伝えようかと思ったのです。
しかし、女性はじっと外を見たままで、何のリアクションもありません。
(服の中には入らなかったのかな? だから気づかないのかな?)
隣りに私の夫が座っていたので、今見た一部始終を話しましたが、夫はキョトンとしています。
「蝶なんか気づかなかった」
とても大きな蝶だったのに、そんなことを言うのです。
時間が経つにつれ、その時のことを思い浮かべて、自分なりに気づいたことがあります。
確かに蝶の形はしていました。していましたが‥。少し違和感を覚えたのは確かなんです。
だって、ふわふわ飛んでいたけれど、羽がはためいていなかったから。まるで蝶の影法師のようだったから。


でも、蝶でないとしたら、あれはいったい何だったんでしょう?

占い師の怪談11

腑に落ちない話

神奈川県の某灯台から、駅の方までウォーキングしたことがあります。
季節は、春から秋にかけての頃だったでしょうか。


高台から、下って行くと、鬱蒼とした森の中に、たくさんの石が均等に並んでいるのが目に入りました。
(何だろう?)
思わず森の中に足を踏み入れました。そこは思ったより広々とした空間で、ひやりとした空気の中に、たくさんの小さな石がうずくまるように並んでいるのが見えました。

(墓石だ‥)
20か30か‥いや、もっとあったかもしれません。苔むして、かなり古い時代のもののようです。
きちんと並んでいるせいか、向こうからこちらを見つめられているような気さえします。神聖な空気に居住まいを正す思いです。


(何でこんなに沢山の墓石が‥?
大昔に海難事故でもあったんだろうか? そしてこのまま放置されているのだろうか?)

 

急に、何とも言えない肌寒さを感じ、私は急いで森の中から道路に出て、ひたすら下へ下へとくだりました。


それから4-5年経っても、私はあの森で見た不思議な風景を、忘れることができませんでした。
もう一度灯台へ行き、同じ順路を辿ってみたい。あの神聖な空気に包まれてみたい。そういう欲求だけが日増しに膨らんで行くのを感じました。
しかし、私の家から灯台までは、かなりの距離があったので、簡単なことではありません。
ある晴れた日、ついにそれを実行する日がやって来ました。
灯台まではバス便があります。駅からバスで灯台に向かい、景色を楽しんだ後、私は以前のように、帰りは徒歩で道を下りることにしました。
しかし‥‥かなり、歩いたでしょうか?行けども行けども、れいの墓石があった広場への入り口を見つけることが出来なかったのです。
「おかしいなあ‥」
私は焦りました。いくらなんでも、そろそろ見つかっても良いはずです。
ついに、入り口らしきものを見つけて、私はそこに足を踏み入れました。
でも‥‥。
確かに、中は木々におおわれ、平らな空間になっていて、小さな墓石がありました。
けれど、墓石は数えるほどで、空間も、広場と呼べるほどではなく、畳3枚ほどの小さなものでした。
私はキツネにつままれたような気分になりました。
あの時迷い込んだ、広々とした別世界はどこへ行ったのでしょうか?
ひんやりした空気と、こちらを見上げていたたくさんの小さな墓石たちは‥?
結局、私の記憶の広場はどこにもなく、あの時感じた神聖な空気も、うずくまるように並んでいた小さな墓石の数々もそこにはなかったのです。
単なる妄想だったのでしょうか?
時間が経っに従って、イメージが肥大した結果だったのでしょうか?
今でも、どうしても腑に落ちないのです。

皆さまはそういう経験がおありですか?

誠実な占い師は儲からない??⑨

最近多いなあ、と思う“困ったお客さま“は、自分の思い通りの答えを求める人です。

多くは“恋愛ファンタジー

職場で、彼が嬉しそうに話しかけてきたり、熱い目でじっと見つめるのだけど、その理由を知りたい、と言うのです。

 

よくよく聞けば、仕事の話をしているだけ。

 

10代や20代の若い女性がそう言うなら可愛いですが、50代〜60歳前の初老期に入ろうと言う女性なので、こちらも気を使います。もちろんお相手は20代の青年。

「彼は特段、何も思ってはいないですよ。話しかけやすい人だと親しみを感じているだけですよ」

と、やんわり相手の恋愛感情を否定するのですが、それだと納得されない。

「そんなはずはない。納得できない」「すっきりしない」

と、食い下がってこられます。

でもね、占い師は、占いで出た答えしかお伝えできないんてすよ。たとえその人の求める答えでなくても。

 

それ以前に、余程の美魔女で、大金持ちでもなければ、そのような発想自体が奇異な感じがします。

 

国際ロマンス詐欺がちまたで問題になるというのも頷けます。

 

いったい何が起こっているのでしょうか。

 

思いつくのは、以前はあったライフステージによる役割意識の崩壊。

この年代の既婚女性は大人としてこういう役割を負う、とか、世代間で共有されていた価値観の崩壊です。

良い悪いではなく、そういうものが崩れ去ったことで、人生の先輩の姿を見たり、話を聞いたりする機会を失い、年を重ねても年齢相応の成長が出来ない。

それと共に、いわゆる生殖年齢を過ぎ、子育て時期も終わった人間の「足掻き」のようなものも感じます。異性として必要とされたいのかもしれない。

 

既婚者は、それを配偶者に求めたり、独身の人は、せめて同世代に求めたりすれば良いんですが、うまく噛み合わないのでしょうね。

 

そのエネルギーを、世のため人のために向けることが出来れば、もっと素晴らしい世の中になるのに、と、とても残念です。

 

誠実な占い師は儲からない??⑧

久々の投稿です。

最近、「毒親」というのを耳にしますが、「毒子ども」というのもありますよ。もちろん、大人の年齢の「子ども」です。

今日、来所されたA子さんも、最近の娘夫婦への対応に疲れ果て、げっそりされていました。

共働き夫婦の緊急の孫の面倒や、食事の世話。それは良いんです、好きでやっているから、ってA子さん。

辛いのは、全く感謝されないこと。

特に娘婿さんには、一度も「ありがとう」を言われたことがない、とのこと。

やってもやっても、お返しどころか感謝の「か」の字もない。もちろんベビーシッター代もない。

帰りも、娘婿が顔を合わせると不機嫌になるから、と、空腹のままラッシュ時間に帰らされるとか。

運勢を見ると、娘夫婦は、全く何もやってあける必要がない夫婦です。

エネルギーがとても強い。自分たちで苦労を乗り越えて、「苦労」を消化する必要があります。

だから、気の毒だけど「毒子ども」を作ってしまってるのはA子さん自身なんですよね。

「ご自分の人生を楽しんでください」と申し上げましたが、子ども思いのA子さん、子どもの人生に深く関わって行けば行くほど、確かに「毒親」の世界にも、入り込んで行ってしまうかも‥‥と思った1日でした。

頑張って👍

占い師の怪談⑩

新婚当初、最初に住んだアパートには幽霊が出ました。

 

何でそんな所を選んだのかって?

 

2階建ての白くて可愛いアパートだったんですよ。

 

私たちの部屋は2階で、玄関から入ったところに小窓があって、とてもオシャレな感じに見えました。

 

大家さんはご高齢の婦人で、そのお屋敷の敷地にアパートは建てられていて、

毎月、そのお屋敷にお家賃を払いに行っていました。

最初にあれ?と思ったのは、お屋敷の窓という窓に鉄格子がはまっていたことと、2階のどの部屋もカーテンでおおわれていたこと。

 

広い敷地なのに、暗くてジメッとしていたことです。

 

ある夜、深夜に目覚めた私は、暗闇の中、足元に女の子が立っているのに気づきました。

頭にずきんをかぶった、花売り娘のような格好の女の子で、顔や手は見えません。

 

最初は見間違いかな、と、何度も目をこすり見直しましたが、やはり女の子です。

 

怖いので、(見なかったことにしょう)と、布団に潜り込みました。

でも、それだけでは済まなかったんです。

 

何日かして、また夜中に目を覚ます時があり、

足元を見ると今度は黒っぽいラメのドレスを着た女性が立って、腕をゆらゆら揺らしていました。

(またか‥‥)

 

私はガッカリしました。

 

おそらく『霊道』というものなのでしょう。

これでは、おちおち夜中にトイレも行けないではないですか。

 

結局、そのアパートは半年足らずで出ることになりました。

幽霊も怖かったですが、何より家賃が高かったんです。二十代の夫婦にとっては。

 

 

誠実な占い師は儲からない??⑦

占い師Aです。

 

最近、「時代も違ったなー」と、考えさせられるお客様がやって来ました。

 

20代後半で、ショートカットの可愛い女性です。

相談内容が、

「どうやったら彼との関係を、結婚に持ちこめるか」

です。

お相手は、結構年上男性です。

まだ知り合って半年ほど。

もう鍵ももらっていて、彼女の仕事が早く終わると、彼のアパートで待っていて、一緒にご飯を食べに行くそうです。

 

彼女は彼が大好きで、ずっと一緒にいたいので、同棲を打診するのですが、

「いやー、ちょっと‥」

と、言葉を濁されるとか。

 

「女性がいるんでしょうか?」

「なら、鍵は渡さないでしょう」

「彼、プライド高いから、あまり自分のことを話さないし、何を考えているかわからないんです」

そういう時はカードの神さまの力を借りる時です。

「彼が何を考えているか、聞いてみましょう」

私はカードをシャッフルしました。

結果、「待ちなさい」というカードが立て続けに出ました。

「その前にやることがあるでしょう」と言われているようです。

「平行線」や、「見掛け倒し」のカードも出ました。

彼は「変わらない」「現状維持」を選んでいるようです。

 

変わらなければいけないのは彼女の方かもしれません。

「彼を待っている時は、たとえば片付け物をしたりするの? 洗濯物をたたんだり、食器を洗ったり、とか‥」

「ええっ! 何で私がそんなことを?私だって仕事帰りで疲れてるのに」

「じゃあ、じっと待ってるだけ?」

「テレビ見て待ってます。ワイン飲みながら。そしたら、彼が帰って来るから、ご飯作ってくれるし」

「えっ? ちょっと待って。彼がご飯つくるの? 帰ってから?」

「そうですよ。一人暮らし長いから、上手だし。パパッと」

「あなたは?」

「待ってます」

「ワイン飲んで、テレビ見て?」

「そう」

まるで親と子の関係です。

まさに平行線。見掛け倒しですね。

 

一緒に住む、ということは、生活する、ということです。共に協力して、『衣食住』生活を整えて行く、と言うことです。

ただ、外で稼いで来るだけでは暮らしは回って行かない。

もちろん、最初からうまく出来る必要はないんです。でも、努力しようとする姿勢があるかどうかは問われる。

 

「あ‥‥そういえばそんなこと、彼から言われたような‥‥。もう少し家事力つけたら、って」

 

彼は彼女に、ちゃんと想いを伝えていたんですね。

 

私は言いました。

「まずは料理を作ってあげたら? 3回に1回でも」

「えー! 料理? 私が?」

「あなたなら出来ます」

だって、彼のこと大好きなんですものね。

占い師の怪談⑨

数ヶ月前のことです。

 

電車を降り、改札から出た時、地下の雑踏の中を、若い女性がこちらを向いて立っているのが見えました。

 

かなり距離がありましたが、まず目立ったのはその形相です。

恨みや怨念を凝縮させたような、言葉に出来ないほどの目つきで、一瞬、

(ホラー映画の撮影でもしているのかな?)

と思ったほどです。

実は、「撮影かな」と思ったのには、他にも理由がありました。

 

南国にいるような女性のラフな服装と、(長袖の季節でした)女性の顔がとても端正で、体つきも細くてモデルさんのようだったこと。

睨みつける形相はまさに「迫真の演技!」という言葉が浮かぶほど、ゾワッとさせるものだったこと。

そして何より、女性の周囲がライトアップされたように白く光って見えていたからです。

だから、地下の改札から出た時、すぐに視野に入ったのでした。

 

私とは目は合わなかったので、見ているのは私の背後。一点を睨んでいる感じがしました。

 

不思議だったのは、女性の前後を、何事もないように人が通り過ぎることです。

 

とにかく、その顔があまりに恐ろしいので、私は足早に通り過ぎました。

 

でも‥‥地下街を出た後、ふいに気づいたのです。

遠近がおかしいことに。

ライトアップされたようだったから目立ったのもありますが、確かに遠近がおかしい。

女性の背が高すぎる感じがしたのです。

 

もちろん、もう一度確認する為に戻ろうとは、決して思いませんでしたが。