まだ小学校4〜5年生だった頃のお話です。(随分昔ですね)
その日は土曜日で、私はうちの茶の間でお昼ご飯を食べていました。
うちには私1人。
ガラガラッと玄関を開けて、誰かが入って来たので、私は玄関の方に首を伸ばしました。
狭い小さな玄関に、父親と、その後ろから青いシャツの若い男性が入って来るのが見えました。
男性は、私に気づいて、「あっ」と小さく叫びました。
(お客さんだ!)
私は慌ててご飯をかき込みました。父親はごくたまに、職場の後輩を連れてくることがあったのです。
茶碗類を流しに運び、茶の間に戻ると、父親が立っていました。
が、父親1人です。
「あれ? お客さんは?」
「何言ってるんだ。お客なんかいない。」
「えっ、でも」
「バカ言うな。オレ1人だ!」
父親に気圧されて、私はそれ以上言い返せませんでしたが、
さっき、私に気づいて「あっ」と言った青いシャツの男性はいったい誰だったのでしょう‥‥謎です。