占い師の怪談④

まだ小学校4〜5年生だった頃のお話です。(随分昔ですね)

その日は土曜日で、私はうちの茶の間でお昼ご飯を食べていました。

うちには私1人。

ガラガラッと玄関を開けて、誰かが入って来たので、私は玄関の方に首を伸ばしました。

狭い小さな玄関に、父親と、その後ろから青いシャツの若い男性が入って来るのが見えました。

男性は、私に気づいて、「あっ」と小さく叫びました。

(お客さんだ!)

私は慌ててご飯をかき込みました。父親はごくたまに、職場の後輩を連れてくることがあったのです。

茶碗類を流しに運び、茶の間に戻ると、父親が立っていました。

が、父親1人です。

「あれ? お客さんは?」

「何言ってるんだ。お客なんかいない。」

「えっ、でも」

「バカ言うな。オレ1人だ!」

父親に気圧されて、私はそれ以上言い返せませんでしたが、

さっき、私に気づいて「あっ」と言った青いシャツの男性はいったい誰だったのでしょう‥‥謎です。